八木宏美(やぎ ひろみ)
1952年鎌倉生。インプット・イタリア・ジャパン社 代表取締役。日伊コミュニケーショ
ン・アドバイザー。ボッコーニ大学、トリノ大学で教鞭をとる傍ら、日伊文化交流協会を設立し、ビ
ジネス日本語講座を開講中。その他、日本の官公庁・外郭団体等の技術・法律・産業・社会部門にお
けるイタリア調査を委託で行っている。
不況風の吹き止まぬ中、日本国内ではチェーン店などが各店舗の採算を詳細に検討しなおし、戦略をきめ細かく差別化するのが当たり前となっているが、こと外国支社の事業戦略に関しては、まだまだ外国事情の"よく見えていない" 日本本社意向オンリーで動いている場合も多々あるようである。
実はこれが現地採用イタリア人社員には全く理解できない点である。敢えて日本企業に就職しようと考えるイタリア人は通常、日本ファン、あるいは日本文化に普通以上に関心を寄せている場合が多いのだが、3年後、5年後に、はっきりと"アンチ日本派"になってしまうケースが残念ながらしばしば見受けられる。これは長い目で見ると確実に大きな損失である。
グローバル化はまず社内から始めたいものである。第一に考えたいのが社員とのコミュニケーションの促進である。欧米語は原則として、話し手がコミュニケーションの首尾に責任を持つ言語で、相手が理解できなければ説明の仕方が悪いとされるが、日本語は聞き手が話を理解する責任を持たされる言語であり、師匠の教えから上司の意向まで、理解できなければ聞き手が悪いのである。
言語障壁はもちろんだが、日本人は、"常に説明不足になりがちな自らの言語習癖"に全く自覚がないことが多い。社員とのコミュニケーションには、日本人側に多大な努力が必要である。