八木宏美(やぎ ひろみ)
1952年鎌倉生。インプット・イタリア・ジャパン社 代表取締役。日伊コミュニケーショ
ン・アドバイザー。ボッコーニ大学、トリノ大学で教鞭をとる傍ら、日伊文化交流協会を設立し、ビ
ジネス日本語講座を開講中。その他、日本の官公庁・外郭団体等の技術・法律・産業・社会部門にお
けるイタリア調査を委託で行っている。
頻繁にやって来る労働省や環境省の立入調査官なら、やむを得ず我慢するものの、中小企業というよりも限りなく小・零細企業に近いイタリア企業には、もちろん広報担当者がいるわけでもなく、取引以外のコンタクトは全てロス時間に計算される。
したがって、いわゆる親睦会、意見交換会、勉強会と称するたぐいの会合を企画しても出席を拝み倒された幹部組合員以外の出席はまずほとんど望めないと思った方が良い。問題解決は現実の"取引問題解決"であって初めて本気で工夫するのであり、現実の取引であって初めて情報交換、細部調整の必要が生じるのである。
イタリア企業は最初のコンタクトから商談だけを念頭に臨んでいるので、まずはお互いに知りあって事情がよく見えてから取引に臨みたい日本企業、意思決定プロセスに時間のかかる日本企業を相手にする辛抱を持ち合わせていない企業も多い。特に、取引相手は別に日本企業ではなくても一向に構わない、引く手あまたの優良イタリア企業であれば、なおさらのこと、忘れた頃届く日本企業からの情報請求は無視されるところともなる。
タイミングの全く噛み合わないこの双方のニーズを調整するには、売手買手に関わらず、取引を望む側の、意思疎通努力が不可欠である。もしも本気で取引を望むなら、社長に直談判し決定に時間のかかる事情も説明しよう。