八木宏美(やぎ ひろみ)
1952年鎌倉生。インプット・イタリア・ジャパン社 代表取締役。日伊コミュニケーショ
ン・アドバイザー。ボッコーニ大学、トリノ大学で教鞭をとる傍ら、日伊文化交流協会を設立し、ビ
ジネス日本語講座を開講中。その他、日本の官公庁・外郭団体等の技術・法律・産業・社会部門にお
けるイタリア調査を委託で行っている。
イタリアでは賞の受賞や試験合格など祝い事がある時、単純に誕生日も祝いもそうだが、周囲が率先して本人を祝ってやるといった発想は全くない。こちらでは祝い事のある本人が、関係者みんなにご馳走するのが通例である。
誕生日だと言うと"では飲み物をおごれ"という声があがる。良いことがあった人は、他人に喜びを分かち与えるべきだという発想である。昼休みに同僚と連れ立っていつものバールに食事に行くような場合には、それぞれが自分の勘定を支払うのが普通だが、夜、友だち同士でピザを食べに行くような場合には、イタリア式の割り勘は、テーブル勘定全体を人数分で割る方式で、それぞれが飲み食いした分を正確に支払うやり方はしない。
談笑タイム勘定を平等に負担するという感じで、たくさん飲み食いした人が得するといった発想はない。最もこれは"計算苦手"が多分に影響している風でもある。日本人が少々気をつけるべきなのは、日常的な行動パターンではない時にレストランなどに行く場合、"レストランへ行こう"と言い出した人物、誘った本人が支払うのがイタリアでの基本ルールだということである。むしろ"ご馳走する気がある時にだけ人を誘う"のが彼らのやり方であるので、誘って支払わないのは非常にまずい。上司も部下も"ご馳走になるために誘う"ことはまずしないので、気をつけたい。