八木宏美(やぎ ひろみ)
1952年鎌倉生。インプット・イタリア・ジャパン社 代表取締役。日伊コミュニケーショ
ン・アドバイザー。ボッコーニ大学、トリノ大学で教鞭をとる傍ら、日伊文化交流協会を設立し、ビ
ジネス日本語講座を開講中。その他、日本の官公庁・外郭団体等の技術・法律・産業・社会部門にお
けるイタリア調査を委託で行っている。
自力で市場に挑む元気なイタリア中小企業の見学がしたい、というのはイタリアにいると頻繁に聞く要望であるが、実は、下請けをせず体を張って市場と渡り合う中小企業が、見学や取材を受けて得るメリットは全くない。
自転車操業で飛び回る零細企業にとっては、迷惑の極みでさえある。しかも、"優良イタリア中小企業"が取材の申込みを受けるのは、何も日本からだけではないのである。
特にテキスタイル業界などでは、韓国、中国、クロアチア、ハンガリー、チェコ、インドなど世界各国から多数の同様の申込みがあり、ひっきりなしに訪れる、招かれざる客への対応に追われ続けているのである。
自分の職場に外国から週2回ほどの割合でゾロゾロとグループ客が来て、毎回少なくとも2,3時間の応対を余儀なくされる状況を想像してみるとよく分かる。組合からいくら頼まれても、度重なればいい加減にしてくれ、ということにもなる。
訪問をする場合には、相手企業の有力人員に時間をつぶさせている点を、よくよく念頭におき、少なくともギブアンドテイクの発想が欲しい。
一方的に情報を得ようとするのではなく、日本業界の基本情報の提供と共に、相手が日本を訪問したい場合など、訪問受け入れの世話を覚悟の上で見学して欲しい、というのは、イタリア工業会幹部などから、しばしば聞こえてくる声である。