
小林 元
東レ経営研究所 研究主幹。イタリア・アルカンタラ社副社長を1999年3月まで務める。36年間海外事業一筋。海外勤務歴通算18年。著書に「人生を楽しみ懸命に働くイタリアー二」(日経BP社発行)。
創刊号から7回にわたって“私のイタリアビジネス日記”という題目でイタリアについてのエッセーを書いてきた筆者の都合により今回をもってこのシリーズを終了することになりました。ご愛読下さった皆様に心から感謝申し上げます。最後の筆をとるに当たって、日頃考えている事を以下に申し上げたいと思う。
日本はイタリアブームだという。とくに元気のない日本の地方の産地を活性化するモデルとして“イタリアの中小企業のモデル”に対する関心が高まっている。産地の人々の“ミラノモデル”が依然として続いている。筆者も昨年4月帰国依頼いくつかの県からの要請を受けて、“イタリアモデル”とはどういうものか、日本のもの作りとはどう違うのか、このモデルを日本へ導入するにはどうすべきかについてアドバイスを行ってきた。
日本のビジネスマンたちは現場主義の人々だからイタリアに調査にいくとイタリアの中小企業のものづくりがどの様なシステムで行われているのかたとえば、産業集積の構造などの調査に力を注ぐ。それはそれで大事な部分なのだが、それを調べ終るとイタリア訪問の目的は達したと思ってしまうようだ。しかし、私がみる限り、イタリアの中小企業の物づくりは産地の人々のライフスタイルに密接に結びついているように思う。いやなにしろ、彼等のライフスタイルの基盤の上に地方色豊かな産品が生まれているのだといってよい。ワインとかチーズとかオリーブオイルを考えてみてほしい。従って、基盤となっているイタリア人のライフスタイルへの理解なしにただ上部構造であるビジネスのシステムだけを取りあげて導入しようとしても、しょせん“砂上の楼閣”に終わってしまうのではないかと思う。
そうした状況を感じていたが筆者は、13年余りのミラノ勤務の経験をもとに昨年の2冊の本を上すいした。“人生を楽しみ懸命に働くイタリアーニ”(日経BP社)である。ここには、北イタリアの中小企業が何故強い競争力をもっているかということ、それを支える北イタリア人のライフスタイルが書かれている。
日本のビジネスマン諸君よイタリアの中小企業のモデルを調べる際には、又交渉の場をもつときにはこのような視点からも考えることを是非おすすめする次第である。
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